「なるべく働きたくない人のためのお金の話」を読みました


著者の大原扁理氏は『年収90万円で東京ハッピーライフ』『20代で隠居 週休5日の快適生活』の人。

始めの方は、隠居生活になった顛末がさらっと書かれてます。今は台湾で生活しているそうです。隠居といっても必要なだけ最低限は働くというスタイル。

 

タイトルにあるお金の話は主に後半ですね。それも稼ぎ方とかそういう話ではありません。

「自分がハッピーに生きていくために必要なお金」との付き合い方で、当然ながら正解というものはないし、自分がどう生きていきたいかによるもの。

そのためには、お金がどのくらいあれば生きていけるか把握した方がいいし、逆算してどれくらい働くかも自分の考え方に合わせる。ですが、ギリギリで生活していくのが目的ではありません。

 

貯金額や保険についても記述がありますが、細かいことは自分ならどうするか人それぞれに考える部分です。

どれくらい保険をかけるか諦めるか。何かあったときも全部諦めるんじゃなくて、こういう保障があるなら自分で準備するのはこのくらいで良しとする。そのバランスを、自分が納得できて不安にならないくらいのレベルで取る。

 

ちょっと引用して。

それ以来、私は満足の最低基準を「好きなことをしているか」ではなく、「イヤなことをしないでいられるか」で判断しています。

嫌なことをやらなくていいと、他にあれこれ世間で言うところの楽しみをやらなくてもご機嫌で生活できるんですよね。

もちろんパワーがある人なら、積極的にやりたいことがあればすればいいのだけど、メンタル弱めな人にとっては上記の方がしっくり来ます。

 

ちなみに私が一番イヤなのは、「本当に必要ではない、よくわからないもののために働くこと」です。もっと大きくすれば、「誰か何のために作ったのかよくわからないルールに従うこと」とも言えるかもしれません。

これはほんとにそう。

 

また、著者は自分の隠居生活がモデルケースですよと示すのでなく、自分の生活を紹介するだけ。合うと思えば真似すればいいし、他は読者の基準で各々が考えて下さいというスタンスです。

それは自分で考えないと今までと同じだからだと思う。誰しも小さい頃から押し付けられた価値観があると思うけど、自分で考えた新しいものにそれを置き換える。

自分は何があれば満足か。嫌な気分にならずにいられるかを知る。周囲の考え方や習慣と違っちゃってあれこれ言われるかもしれないけど。

 

著者は全体的に力が抜けている感じがいいですね。今では利他的な考え方にさえなっておられるようで、こういう人が増えると暮らしやすいのになと。

(わたしゃ自分の事しか考えないんだけど、例えば買い物で話す時とかに人当たりを良くするだけでもいいじゃんね。ギスギスしないだけでもね)

 

自分がお金を使うとき、個人的な損得でなく「社会という銀行に貯金しているイメージ」と書いておられます。先日読んだアタリの本でも同様のこと感じたけど、自分だけが豊かになっても周囲が豊かにならないと…という境地に多くの人がなれば、人類として一歩進むということだと思います。

 

あと、お金を人格化したり、お金の視点で考えるというのは新鮮でした。自分がお金の立場だったら、どう使われるのが嬉しいかみたいな。(エシカル消費的な)

 

内容としては、お金の話以外だと無職生活丸5年になった自分には既に当たり前と感じてしまうことも多いです。前半はお金を使わない生活の心構えや知識諸々の集大成でもあると感じました。

そういう人は後半だけ読んでもいいかな。でも、初めてこの系統の考えに触れる人にはカルチャーショックかも。(最近、毎回これ書いてる気がする)

 

実は大原さんの著作を読んだのは初めてですが、とにかく、自分がぼんやりと感じていることを言語化してくれる人の一人には間違いない。

ラストの対談も良いです。

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