すごくざっくり言うと、
世界の富の大部分を一部の富裕層が所有しているというが、ルールなど関係なく皆がますます強欲になれば、現状に憤懣を持つ人々がいよいよ激怒し大惨事を迎えるだろう。
新しい技術が皆に利益をもたらし諸問題を自然と解決してくれると考えるのは楽観的過ぎるかもしれない。現状が進み大惨事にならないためにはどうすればいいか。という内容だと思う。
本書は、まず現状の分析に入る。
大戦後、全体的な暴力は減るなど良い傾向もあるが、軍備は増強、暴力に大義が必要なくなり、経済などは一部持てる者のやり口にタガが外れてきた感じがみられる。国際機関も古いままで役に立っていない。
また一度は減った個別の殺人事件なども、場所によっては再度増える傾向もある。
そんな感じ。
・今までのところ、政治と経済の自由に基づくシステムはとりあえず優れていた
・しかし今日、このシステムは機能不全
・利己主義が激化して裏切りが横行、人々は強欲になり刹那的に生きるようになった
・市場は、人権を尊重させる法の支配や、再配分を行ったり当事者の情報不足を補ったりする国という存在がない中で、グローバル化した
・民主主義が企業に及ぼす影響は減る一方、企業は国の統治権や株主の国籍に配慮する必要がなくなった
・民主主義は企業に対し法の支配に関するダンピング競争に巻き込まれた。そして財源を失う。短期的なことに専念し重要事項を無視。そして存在意義を失う
・袋小路に陥り、怒りが爆発。大惨事へ。憤懣が激怒にならないようにしなくてはならない
回避するためにはどうすればいいか。
人類の存在意義を維持すること。世界は相互依存を強めており、他者の失敗で利益を得るものは誰もいないと悟ること。
現世代と将来世代の政治および経済の権利を保障する民主的かつ地球規模の法の支配を早急に確立すべき。
世の中に利他主義を根付かせる。自己の利益のために、最大限に利他的に振る舞う必要がある。またそういう活動をしている人々の邪魔をするな。
(自分の周囲が怒りに溢れた人ばかりなら平穏に暮らせない。満ち足りて幸せな気分の人が多い方が自身も気分がいいでしょう)
そして後半は現在のデータや研究、開発中の技術などから、既に分かっている将来への分析が続く。
新技術によって明るい予想もできる。ただ世界的な法整備がなければ(市場の欠陥を補う機能が無い)、それによって得られる利益は集中。ますます貧困者は増える。
人々が寛容の精神を持ち利他的に生きなければ、ヤバい世の中になるだろう…
自由で多様な生き方が望ましいが、自分のリソースを100%自分(と近親者)だけの為に使うのでなく、多少自分の自由を制限しても、何割かは知らない他人(や環境など地球上の全て)が良い方向を向けるように振り分けてみよう、ということでしょうね。
しかも押し付けられるのでなく、自ら意識を変えて。
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