人類の発展をおさらいし考察するような本で、似たような系統ではジャレド・ダイアモンド氏の「銃・病原菌・鉄」を読みました。
化石資料をDNA解析することで様々なことが判ってきていて、ここ何年かは人類の起源を解明しようとする書籍を多く見かけます。
ブログには書きませんでしたが、「ネアンデルタール人は私たちと交配した」もその一つ。人類も我々現生人類だけでなく、色々な種類の人類が同時期に存在していて、今は私たち以外は滅びてしまったと。(滅びたのか、我々が滅ぼしたのか?)
なぜ私たちが他の人類種と違ったのか。そういった謎を解いていく本です。
それは虚構を信じる力や、具体的にはそれを表現可能な言語体系の進化ということが書かれます。キーワードは7万から3万年前の「認知革命」。
この「サピエンス全史」は歴史の流れを多方面から考察する本で、歴史の流れ自体を詳細に書いたものではないです。文章は冴えていて面白く、かなり読みやすい。
読み途中ですが、興味を引く部分が多いので幾つかまとめたり引用します。
ライオンやサメなど頂点にいる生き物は何百万年もかけてゆっくりと進化した。そのために捕食される周囲の生物も順応する暇があった。(ライオンやサメ自身は度を超えた捕食を行わないように生態系には均衡する時間があった)
しかし長い間取るに足らない生物だった人類が、あっという間に頂点に登りつめた(数万年程度の間に) 生態系は順応する暇がなかった。人類自身も順応する暇がなかった。
地球に君臨する捕食者の多くは長きに渡る支配と自信で堂々たる生き物だ。だがサピエンスは政情不安な小国の独裁者のようなもので、恐れと不安でいっぱいだ。そのため、尚更残忍で危険な存在となっている。
言い得て妙ですね。
面白いのは、私たちの言語は「噂話をするために発達」したという説があるとのこと。
これは、まさにそうなのかもしれないですね。未だにワイドショーはそういう話題メインだし。危険を知らせるための言語も大事ですが、ある程度(150人が限界)の集団の維持には噂が通じる知り合いであることが必要。
(それ以上の集団になると虚構、例えば神、国民、法人というような概念の共通認識が必要。それにより知らないもの同士が協力でき大規模なことが可能になる)
ライオンがいるとかどこそこに危険があるという情報も大事でしたが、同様に誰々が誰々を好きだとか憎んでいるという情報が、社会的な生物である人間にとって重要であったと。誰がいい人で誰がずるをするかが、自分の集団の中での生存と繁殖に重要だった。
今でもそういうコミュニケーションに難があると子孫は残せない(残さない)こと多いし。
取るに足らない生物だったホモ・サピエンスが、急激に今のようになり得た説明が素晴らしいので引用して終わります。
「認知革命以降、ホモ・サピエンスは必要性の変化に応じて迅速に振る舞いを改めることが可能になった。
これにより、文化の進化に追い越し車線ができ、遺伝進化の交通渋滞を迂回する道が開けた。
ホモ・サピエンスは、この追い越し車線をひた走り、協力するという能力に関して、他のあらゆる人類種や動物種を大きく引き離した。」
思うに人間って自分の能力以上のことができますよね。先人の発明などに頼りながら。
もちろん便利になって自分以上のことが可能で素晴らしいですが、能力的には遺伝子で生物的に定められた範囲を遙かに超えてしまいました。それ故に苦しみも増幅しているのだと改めて思います。
著者は歴史学者。まだ1/4読んだだけで色々と書いてしまった。続けて読みたいと思いますーさん。いただきマングースw
(*追記:上巻まで読みました)
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