phaさんの「がんばらない練習」を読みました


エッセイというか、phaさん本人の「できない」ことが多く書かれている本です。

日常で誰でも感じそうでもあるし、そんなことないよと言われそうでもある。多様な事柄について心の中を吐露していて、今までの集大成感もあるけど、むしろエピソードゼロみたいな気もしました。

(多分そうじゃない。phaさん本人は「働くの面倒くさい」「会社を辞めて自由に」みたいなのを語るのは飽きてしまっている。なので新章突入かな)

 

内容を少し紹介すると、第二章にある「何かを決めるのが苦手だ」なんて、書かれているような、そういう感覚あるよなと感じました。

どうでもいいような事を考えて選択までの思考が無限ループになったり、実際に自分の過去の選択が失敗しているので直感を信じられなかったりする。

完璧主義で最善の手を選びたいがために何も選べなくなる。決定しないうちはまだ他の可能性もあり、それを保っていたい。でもそれは何も決めないという選択をしているということなのだけど…

 

次にある「荷物を減らせない」というのもいいです。外出時にあれこれ起こることを考え出すと、どうしても持ち物が多くなってしまいますよね。

「外出というのは、既知のものしかない自分の部屋を飛び出して、未知の何かと出会うための行為だ。予想外のイベントがランダムに起こる外界で、そのイベントの波をアドリブで乗りこなしていくというアトラクションだ。」

とある。なるほど、そう考えて楽しめばいいのですよね。

でもphaさんはそれを理解しているのにかかわらず、「未知のことが次々と起こるのが怖くて、既知のものをたくさん運ぶことで身を守ろうとしてしまう。」と。

自分も対策をとってある方が安心だし、未知のイベントを楽しめる人はいいなと思います。そしてセミリタイア後はそうなるように心がけてもいるのですが基本的な性格もありますしね。

 

本の中からパッと目についた部分を挙げてみました。全体的に書いてあることが非常にすっと入ってきます。もちろん自分とは感じ方が違うなというのもありますよ。

退職後に何年も経った現在の自分は、諦めの境地なのか、もうあれこれ考えるより以前よりひとつ適当な感じに抜け出せているとも思います。それは世間一般にはいい意味でじゃなくて、悪い意味でのような気もしますが。

あと、特に好きだなと思ったもの。
「会話がわからない」
「早く着きすぎてしまう」
「不意打ちが怖い」
「旅立つのが下手だ」
「検札が怖い」
「自分のことしか書けない」
「書くことで何かを終わらせる」
「すべてを覚えていたい」
「同じことを続けられない」

 

タイトルの「がんばらない練習」については、一般的に「こうやって練習しましょう」みたいなものでは当然ありませんが、私はもう頑張るのに疲れてしまった人間なので惹かれるものはあります。

世の中で上手くいって頑張っている人は、もちろん頑張っていて本人の努力があるのだけど、基本的にはバイタリティがあるんですよね。努力できるパワーがあり、頑張らなくする必要がそれほどないんじゃないかなと。

 

スポーツ選手だって体を使いすぎると傷めることはある。精神もそうで、自分なりに可能な限り頑張ってみたあげくが壊れてしまうことがあります。「誰だって疲れるんだよ。怠けてるんだ。」と仰る方もいると思いますが。

でもたとえ同量のパワーを持っていても、同じことをした時の気力の減り方は違うでしょう。人と会うと元気が回復する人もいれば、たとえ気に入った人とでも会うと疲弊しやすい人もいる。

 

会社に行くとか人と付き合うとか、世の中で生活していくために必要な頑張りが合う人と合わなかった人がいて、合わないのに頑張った結果、パワーゲージが残り少なくなってしまった。これ以上頑張るとゼロになってしまう。

自分一人だけでやることってわりと頑張れますよね。でも今の世の中は頑張り方が複雑に難しくなってしまい、すべてに対応して頑張ると壊れるのだと思う。

なので真面目に頑張ってしまう人には、頑張らない練習が必要なのだろうなと。

 

これはタイトル的にはそういうタイプの人に、そんなに頑張らなくていいんだ、「壊れるまで頑張らなくてもいいんだ。」と自分を肯定してあげるための本なのかも。

あとがきを読むと「人がそれぞれ抱えている自分の”できなさ”とうまくやっていく」参考になればよいなということ。

でも内容としてはどうしようもない人がどうしようもないことを書いているくらいの感じで読めばいいのでは。自分もどうしようもないのだし。

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