限定品・タイムセールなどに飛びつかないために


資本主義は競争しながら発展し、画期的な製品が現れれば大衆の生活が一気に便利になる良い面がある。

しかし、先進国のようにある程度モノが行き渡って飽和してくると、実際に生活に必要なものはもう十分であるのに、むりやり流行をつくって消費欲を刺激したり、限定品、タイムセールなどを行って、実際には必要がないものまで売ろうとなってくる。

現代ではこれに乗せられて、時間を削って働いて得た賃金を無駄なモノと交換してしまうことが多い。お金が余っていればそれでもいいのだが、そうではないので行動経済学で損をしない感情のコントロールを学ぶ。

 

人間は何かの決定や判断を行うとき、直感や感情ですることもあれば、じっくり考えてすることもある。人の判断や決定は脳内の二つのシステムで賄われている。

システム1:直感や感情
無意識で瞬時に判断を下す。同時に並行して複数作業をこなす
決断が早いが間違いを犯しやすい
過去の経験や本能のバイアスがかかりやすい

システム2:思考、理性、論理
意識的に行う。時間や労力が必要で一つのことに集中して作業
欲望に負けない自己規制

 

システム1は元々生存のため。ヘビのようなもの見たら怖い、瞬時に逃げるという決断である。

本当にヘビか?毒がある種類か?などを判断するのはシステム2だが、その判断が終わるまで逃げずにいると、噛まれて致命傷を負うかもしれない。たとえ縄だったとしても、とりあえず逃げるのが得策で、その行動を引き起こすのがシステム1。

日常や長年経験して来たことならシステム2による熟考を経なくても、システム1で十分に用が足りる場合が多い。だが重要な決定においてはシステム2を働かせる事が必要になる。

 

「理性が感情を支配できるとは限らない」

行動経済学者はイメージしやすいよう、よく以下のように例えるそうだ。
システム1→「象」
システム2→「象使い」

象は象の都合や事情で行動しようとすることがよくある。象使いは自分の都合に合わせコントロールしようとするが、なかなか上手くいかない。象は一旦暴走すると歯止めが効かずコントロールが難しい。象使いが疲れていたり集中できないときは、象のコントロールに失敗する。

理性的なシステム2が感情的なシステム1を支配できるとは限らないのである。

時間的な制約があれば、それは顕著になる。直感で出した答えを検証する時間がない場合だ。また知識不足でも検証ができない。

「損失回避性」

システム1はバイアスを生じさせやすい。人の認知や判断は大抵バイアスがかかっているといってもよい。その一つに「損失回避性」があり大抵の人は持っている。

サルやトリといった動物にも同じ性行が見られるが、人類の過去数百万から数十万年の経験で、何かを得るより失う痛みの方を大きく感じるようになっており、自然と損失を避けたいという心理が働く。

そのため希少品、限定品などに弱く、買っておかないと損だと思ってしまう。

損失回避性は更に「サンクコスト(既に費やしてしまい、もう回収不能なコスト)を無視して合理的な選択をする」ことを難しくする。現状維持を肯定したり、保守的になるのも損失回避性に一因がある。

 

冒頭に書いたように、企業は必ずしも必要でないものを何とか売ろうとしてくる。しかも人間の性質を研究し、システム1に訴えかけてくるため、システム2をもって、本当に必要なのか、今買うべきなのかを検討する必要がある。

システム1が起こしやすい認知や判断のバイアスを軽減するにはどうすればいいか。(ここだけ書けば良かったくらいなのですが)

1.
「バイアスは誰にでもある普通のことだ」と考える。持っていても恥ずかしくはないし弱点の一つだと認識しておく。

2.
どんなバイアスがあるかを知る。ここでは「損失回避性」「サンクコスト効果」。知ることでどんな間違った判断をしやすいのか知っておく。

3.
外部や第三者の意見を参考にする。意志決定が影響を与えない当事者でない人に判断の善し悪しを判定してもらう。

4.
判断から実行までの間に意識的に時間をおく。時間が経てば当初の感情が薄まることがある。そこで再検討すればよい。

5.
専門知識を身に付ける。特に数学や統計。相関と因果の混同などを避けられる。初歩レベルで良いが、経済や自然科学も。

 

 

逆を多くやってきてしまった人生の気がするので頭が痛いです。

しかし自分としては合理的、損得というもの差しでは生きてこなかったのよ。それだけで判断していたのではつまらないから。

でも明らかにあれは失敗だったのだろうな~と思うことは多々あります。結果論ですが。

もう過去の無駄遣いはどうしようもないけど、若い人が一時的な見栄やのぼせた感情で変な失敗をしないように、かといって本当に必要な時に萎縮して後々の後悔の元にならないように、まっとうな判断力を得られればいいなと思います。

 

こういう知識を得られる本の場合、感想というよりも、もう少し「学び」にフォーカスして書こうと考えました。自分のためにも人のためにも、ブログにまとめておきます。

システム1、システム2って言いたかっただけかもしれませんがw

 

「行動経済学が教える損しない感情コントロール術」(友野典男)

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