不老不死が実現した社会。「百年法(上)」を読んでるよ~ん


HAVIという不老技術が確立した世界のお話です。

多くの人は若い頃に不老化処置を受けるが、生存制限法(通称:百年法)という法律により、「不老化処置を受けた国民は処置後100年で生存権をはじめとする基本的人権を放棄」しないとなりません。

HAVIの開始から年月が経ち、いよいよ日本で初めての百年法の施行(=苦痛を伴わない安楽死)が迫っている年代から物語は始まります。

 

群像劇、またグランドホテル方式ともいうらしいですが、何組かの主人公(とその周辺)の流れを同時進行で交互に追っていく形式で話は進みます。

 

主人公の一人目は政府の関係者。

閣僚ですね。百年法を施行させるために奔走します。法の施行開始を前にして民衆の人気欲しさに百年法の施行を迷う政治家、百年法の施行凍結による世代の停滞などから、経済の衰退や既にHAVIの技術を持ち安楽死を実行している国々からの外圧といった日本の将来を案じる官僚のせめぎ合いがあります。

二人目は労働者。

本作ではエリートになれなかった人々は公営のユニオンという組織に所属し、三ヶ月交替で職場を移っていく労働システムになっています。古い友人がHAVIを受けず老衰で死んだことで死について考え始めます。これが一般人の代表ですね。

ただHAVIのおかげで誰も死なないためにユニオンも定員が一杯になってきていて、望めば皆が所属できるわけじゃありません。正規非正規のような既得権、若い世代が割を食う問題も書かれていたりします。

三人目は警察関係者。

自身が百年法の最初の施行対象だが、死にたくない一心で逃げ道を探るという人物。

(最初の設定だけでネタバレという程は書いてないので安心して下さい。そもそも上巻しか読んでないわけで…)

 

内容は展開の速い映画のようなエンタメ小説で、上下巻の上まで読んだ時点でワクワクします。国と個人のどちらを優先するか、不老不死とはどういうことかなど考え始めれば答えを出すのに困難な問いかけは含んでいると思いますが、あれこれ考えずに楽しんで読むものだと思います。

 

「不老にはなるがある一定の期間が過ぎれば死ななければならない」という設定で、ありがちかもしれませんが面白いですね。(TIMEという不老なれど生存時間を金と交換するハリウッド映画もありましたが、アマンダ・セイフライドが可愛かったですなあ)

本作では多くの人が若い頃に不老処置を受けるので老人がほぼ存在しません。(但し病気や怪我で死ぬことはありますが)
本筋とは関係ありませんが、そのため、ナンパしたら実は自分の祖母だったというような笑えない話もおきます。

身体が若いまま100年も生きるので、数回の結婚離婚をする人もいて、子供が成人すればファミリーリセットをし(名前からご想像くださいw)親子関係は特に続けるも続けないも自由な世の中という設定です。

また、小説では世界で既にHAVIは浸透していますが生存期間が100年という国は長く、日本だけがまだ百年法が未施行の唯一の国です。なのでもし施行が凍結されたら世界からハブられ国としての存続がやばくなるわけですが、国民の多くは死にたくない。ただ「携帯+マイナンバー」が進化したようなデバイスが無いと決済不可でまったく生活できないし、国外に逃げても生き延びるのは難しい状況で、さてどうしようという感じですね。

 

上下巻ある本ですが上巻だけ図書館で借りて読みました。下巻は図書館で予約待ちで何人か予約が入ってるので少し先になりそう。先に上巻だけで書いちゃいました。

下巻も貼っとくけどねw

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