「三度目の殺人」を観ました


100%ネタバレしてますのでご注意を。マジで全部書いてるから観る予定があればリターンして欲すいのです。

映画としては重厚感もあり面白かったですが、物事がすっきりと解決する話ではありません。実際、何が真実なのかは観客も弁護士役の福山雅治と同様に三隅の言動から想像するしかないのでしょう。

 

細かい伏線的なものが気がついただけでも沢山登場し、観客が色々と解釈できると思います。それに「事実」と思わせぶりな演技からの「想像」がごっちゃになってしまう。

謎がありすぎてきちんと整理するのに時間がかかりそう。なのでとりあえず思いついただけ箇条書きにしておきます。後で読んだら自分でもわけ分からんかも。

 

一応ストーリーとしては

・三隅(役所広司)が殺人犯としての裁判が始まる
・弁護士として福山雅治らが担当となる。
・検察側は、犯人は河原で鈍器で殴りガソリンで火をつけたと主張
・動機は食品工場を解雇されたこともあり、被害者である社長に対する強盗殺人
・検察の求刑は死刑と思われるが、判決を無期懲役に軽減させるのが弁護側の目的
 →強盗殺人から、殺人+窃盗で減刑を狙う
・三隅は初め自分の処遇についてはどうでもいい感じ(に見えた)
・週刊誌に三隅と被害者の妻(斉藤由貴)の共謀(保険金目当て)という噂が載る
・共謀の対価と思われた三隅に振り込まれた50万円は、被害者の経営する会社が行った食品偽装の対価と判明
・殺害された被害者の娘(広瀬すず)が被害者の性的虐待を法廷で証言しようとする(弁護士に告白)
・それを知った三隅は主張を無罪へと変更
 →広瀬すず演じる被害者の娘に辛い証言をさせないため?
・他の弁護士に反対されるも、福山は三隅の主張を受け容れ「犯人性」で裁判を争うことを決意
・判決は死刑

 

事実

・三隅演じる容疑者に50万振り込まれていた
 →殺人依頼ではなく、食品偽装の対価だった(さほど意味はなかった)
・広瀬すずは北大の赤本を机に置いて勉強していた
・三隅と広瀬が一緒に撮った写真が存在する(三隅の実の娘と同じに雪遊びをしていた)
・三隅は実際に火傷をしていた
・三隅は家賃を早めに振り込んだり、飼っていたカナリアを葬った(捕まる前準備と思われ)
・広瀬は三隅のアパートに通っていた

 

背景

・三隅は過去の殺人で服役していた過去がある(北海道の留萌の事件)
・その時の裁判官は担当弁護士(福山雅治)の父
・三隅も福山も娘がいる。父としては…
・そういえば三隅という名前も三が入っている。名前に意味があるかも。
・斉藤由貴が娘広瀬に対して愛情がない感じ?(触り方、依存の仕方)
・カナリアは五羽いたが、一羽だけ逃がしたと三隅はいう
・福山の娘が万引きしてうそ泣き。法廷では誰も真実を言わない(それっぽく見えればいい)

 

謎や想像

・殺された被害者は十字の格好。カナリアの墓にも十字が。(罰?)

・劇中で目撃者がいないと言ってるので、三隅の犯行なのか、実は被害者の娘との共謀なのか(と匂わせたのか)わからない。

・三隅曰く、広瀬すず演じる娘が「よくウソをつく子」とは?
 →単に辛い証言をさせたくなかっただけの庇う意図?それとも一人だけ目立つ赤いコートを着ていたことから広瀬の言うことは真っ赤なウソ?それとも父親の性的虐待を黙っていたのがウソなのかも。

・広瀬の足のことは何が本当なのか。(生まれつきという情報を得たが、広瀬本人は小さい頃の怪我だと主張)これの意図がわからない

・広瀬が北大を目指していたのは三隅の出身が多分北海道だったから?そうだとしたら三隅を救いたいのは本心と思えるし、写真からも実際に慕っていた。

・タイトルの謎。殺人が三度目とは?
留萌と今回で二度。三度目は三隅が自分に対してということなのか?
 →無期懲役に出来たかもしれないが、途中で広瀬のために死刑覚悟で法廷での主張を変更した。

・三度ほっぺたを拭うシーンがあり、順に三隅、広瀬、福山。三隅がどのように社長を現場まで呼び出したか質問するシーンがあり、広瀬の後始末を三隅がしただけとも想像できる。

・福山が何度目かの接見をしたとき、三隅が福山と手を合わせて(誰も三隅に話していない)福山の娘のことを読み取ったのは? 留萌の殺人事件(一度目)の時に「ただの器みたいだった」という逮捕した警官の証言からは、空っぽ=何かが憑依して?的なこととして描いているのか?

・そもそもが目撃者がいないと言ってるのに自白だけで有罪はおかしいよな。

・カナリアは登場人物を意味する?

・被疑者が弁護士を翻弄するあたり「羊たちの沈黙」を思い出しました。

これらを踏まえながらもう一度観れば多少深い所まで想像できるかもしれませんが、まあ色々と解決されずに映画は終わります。

 

最後に

素直に見れば、広瀬に対する社長の罪を知った三隅が、広瀬のために社長を裁いたということ。三隅は広瀬の「あんな父親死んで当然」な思いも分かってしまうのだし(人の思いが分かる能力があるみたいに描かれている。それが器っぽい。一度目も逮捕した警官が恨みではないみたいなことを言っていたし、そういう何かが入り込む?)

それで広瀬が三隅のために法廷で被害者からの性的虐待を証言しようとすると、無期懲役を捨てて死刑覚悟で主張を変え、広瀬の証言がなくなるように動いた。

確実なのは、「司法制度の在り方に対して問題を提起する」というのはあると思いますが。

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