「サピエンス全史」は人類の歴史をふり返るもの。「ホモ・デウス」は、では今後どうなる、どうするかという内容。
人類の長い間の懸案事項は「飢饉・疫病・戦争」であったが、現在は完全とまではいかないが対処可能な課題となった。(神の仕業だったり、奇跡に頼るものではなくなった)
しかし歴史を考えると、何かが必ずそれらの課題に取って代わるものである。では次に取り組むべき課題は何だろう。
・人類と地球全体を、人間の力による危険から守ることは一つの課題(環境汚染など)
次に以下、不死と幸福と神性の追求が予測される
・医療により本来の寿命より早死にすることは少なくなったが、人の欲望は際限がなく、老化や不死に取り組む(死を技術的問題と捉え解決していく)
・全世界の幸福を確保する。人は体の中の快感を幸福に感じるため、アプローチの一つとして人の生化学的作用を操作する?(向精神薬。快感のための資本主義的な娯楽の追求など)。もう一つは快感への渇望を減らしていくという真逆なブッダ的アプローチもあるが。
・不老、幸福を追求した結果として神の領域へ。人間の体と心を作り直すかもしれない。生物工学。サイボーグ工学(例えば高速ネットに繋がっていれば自分の手足が別の場所にあってもいいではないか)。非有機的な生き物を生み出す工学(例えばスター・トレックに登場しそうな、機械にデータだけ乗った生物みたいな)。
そうなると神の領域ということで、ホモ・サピエンスから本のタイトルになったホモ・デウスへ。(デウスは神の意)
しかし上記は過去300年の考えに基づき立てた予測で、例えば家を建てる人が庭に芝生を植えるだろう程度のもの。
歴史を学ぶというのは、ある時代の人々にとって人生で最も重要に見える事柄が、子孫にはまったく無意味になるのを理解すること。今の自分たちの価値観だってただの虚構(共有している物語)であり、後世の人達にはどう映るかわからない。
21世紀の新しい思想から生まれる未来はまったく違うかもしれない。21世紀に本当に取り組むべきは、上記より更に複雑になるだろう。
という感じ。
上の部分が「最初の章」です。より詳しく考察するために、以降の第一部では人間と他の動物との関係を取り上げ、第二部でここ300年の人間至上主義(という宗教)はどのようにして世界を支配する考え方となったのか、歴史をふり返り考察しています。
それらの知識を得た上で、不死と幸福と神性を追求する事によって何が起こるのか。それは下巻でまとめているとのこと。
ほとんど内容のまとめで感想までに至ってませんが、以前読んだ「サピエンス全史」のおさらい的部分もありーの、「サピエンスの今後」はどうなるのかという考察部分を、もっと詳細にして一冊の本にしたという感じか。
この人のは文章自体が面白いですよね。というか例えのように出てくる知識が面白いです。(いわゆるトリビアがです)
有神論の宗教というのは、農業革命以降、自分たちが栽培化された植物や家畜化された動物に対して行うことを正当化するためのものだった。少なくとも当初は。
狩猟採集時代は地上の全てが登場人物だったが、農耕開始以降の有神の宗教は神と人のみが主役で、人は他の動物と比べ特別な存在となった。アニミズムは「イブ」=「ヘビ」(セム語派)という部分に深く隠された。
そして科学革命以降は神々まで黙らせ、今は人類のワンマン・ショー。農耕の時に神とした約束事のようなものは無く、物理化学生物学などを好き勝手に操っている。とかそういうの。
続きです。下巻を読んだのでリンクを貼ります。
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