まんがで読破 資本論と続・資本論


資本論の本物は読んだことがないのでせめて漫画で雰囲気だけでも。

一冊目は、家内制でチーズを作っていた青年ロビンが、資本家より投資を受け工場を作る話。

初めは従業員に対し敬意を持って接していたが、原料の高騰や生産の拡大などで徐々に労働者から搾取するしかなくなる。

子どもの頃、母を救えなかったのは貧しさが原因だと考えるロビンは金持ちになりたかったのだが、金のために人を奴隷のように扱わねばならず、「いったい何のために」と悩む。自分もまた資本家にとっては単なる奴隷だったのだ。

みたいな感じ。

 

「続」の方が踏み込んでいて、資本主義の矛盾などをエンゲルスが解説する形になってます。

儲けるということは投入した資本以上の価値を生み出すことだが、元々の物々交換では成り立たないのでどこからか価値を生み出さねばならない。そこで労働力と賃金を等価交換しつつもそこから余剰価値を得ることになる。

生産業において機械ではその価値は生み出せず、余剰価値を増やせるのは人間の労働力だけと書いてある。

資本主義は際限なく拡大を続けねばならない。よく分からないが拡大して機械が増えたり性能が上がると全体の利益は増える。しかし労働力は減っているので利益率は下がる。労働者の給料も上がらない。

競い合い技術革新が進むと機械が高度化し労働者の負担が減る。誰でも出来る作業になり人件費が下がる。相対的に資本家の利益が増える。それを次の技術革新や拡大再生産にあてる。余剰価値をもたらすはずの労働力は機械の高度化で減少する。利益率は減る一方。という悪循環。利益率が平均化しても競争は続く。景気は後退不況の一途。そして強者だけが生き残る。

 

銀行でも何でもどんどん合併して大きくなっていくのはそういう仕組みなのかね。

労働者は労働力を売るしかないという内容が出てきますが、今、その仕組みからはみ出す若い人が増えてきてはいるのかも。ネットが出てきて雇用されず自力で何らかの価値を生み出すということが追求しやすくなってきた?

 

以前紹介した「僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?」にも労働時間についてや賃金が上がらないわけみたいな話が書いてあった気がします。

初めは従業員の立場に立っていたロビンが彼らを無理にでも働かせようとしたきっかけとして、ルールを破ったりサボるやつがいたからですが、まあ平等にしてもサボっちゃうわけだから難しいですね。

最後にロビンの父の言葉が身に染みます。肉体労働のような苦労もなく、金持ちのような欲望や嫉妬に悩まされることもない。「中間の暮らし」こそ人間にふさわしい。

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コメント

  1. アーベル より:

    こんにちは。

    >余剰価値をもたらすはずの労働力は機械の高度化で減少する。利益率は減る一方。という悪循環。

    これはまさに今現実で起こっていることなんですよね。労働を売るしかないないプロレタリアの収入は確実に下がっています。収入が下がれば物を購入する時資本家に払う代金も出てこなくなる。資本家はより搾取を強化する。労働者はますます窮乏化する。だから結果として革命が起こるというのがマルクスレーニン主義の流れとなります。

    しかし革命なんか起こさなくても、労働者に金を与えればそれだけ購買力は上がるので資本家の利益は増えるんです。今の世の中学卒で大企業の正社員や公務員になれるかなれないかで生涯賃金に大きな差が出てくるようになりました。正社員であっても定年の遥か手前で会社を去るのが珍しくなくなりました。購買力が落ちている。だからデフレになる。

    ベーシックインカムをやってほしいです。月3万円でいいから国民に一律配ってほしい。お金が難しいなら期限付き商品券でもいいんですけどね。

    1. じゅんぺー より:

      >アーベルさん
      こんにちは。
      その悪循環によって、労働の対価として得る収入が下がってくるというのは自然の流れだということですね。いい感じでずっと存続するシステムってのはできないものなのでしょうかね。
      ベーシックインカムについては、最低限飯だけは食べられるって食事チケットでも、それがあれば最悪死なない安心感はあるから他のことは何でも自由にやれる気もしますがダメなのかなあ。心配事が多い人は働けばいいし。

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