花は何のために存在するのか? 人間を楽しませるため? ハチに蜜を与えるため?
花は、生物界のすべてと同様に、DNA言語で書かれた自己複製プログラムを広めるために存在している。花は花をつくるための仕様書を広めるために存在する。
この本は『利己的な遺伝子』で有名なドーキンス博士が、1991年に子供向けに行ったレクチャーをまとめたものです。
『利己的な遺伝子』では、個体は遺伝子が自己複製するための乗り物に過ぎないという表現で、遺伝子を中心に据え進化の過程を明快に説明し支持されました。
その前段階の入門編として刺激的で分かりやすい内容で、これ系に興味があればお勧めだと思います。
現在ではイヌは大小様々の種類がいますが、元はオオカミから分かれていますよね。
人が目的によって掛け合わせて来た結果、小さいのはより小さくなり、大きい種はより大きくなった。人が食べる果物も、より甘さを求めたり大きさを求めたりした結果、原種からはだいぶ離れました。
それは人為的な選択の結果です。
それと似たような事が自然によって行われた結果が進化であり、自然環境だったり、昆虫や動物が(意図せず)選択した結果でもあります。
(例えば、昆虫が蜘蛛の巣に捕らわれることで、捕まえやすい巣を作る蜘蛛が残りがちみたいなこと)
保護色とか擬態とかありますが、たまに遺伝情報が変異しながら、ほんの少しでも有利な(餌として捕食されないなど)ものが残って子孫に伝えることを繰り返し、本物と見分けが付かないような形状になる。
また、一見すると生存に不利なのでは?と思われる、オス孔雀の羽のような性淘汰という考え方もあります。
本書は進化の問題を考える上で重要な「長い時間の概念」や「微々たる違いの積み重ねによる力」を説明しています。
また講義に加えドーキンスとの対談が収録されています。訳者がある企画で、読者が喜びそうなウソでなく不都合でも真実を追求しようとする真摯な科学者の話を聞いてみたいというのがインタビューのきっかけだそう。
訳者のあとがきによれば、優れた進化論の入門であり、ドーキンスの著作のエッセンスが網羅されていて、彼の世界への入門としても格好の書になっているとのこと。
人も餌をとる能力(現在は経済力か)やコミュニケーション能力、身体的な強さ、賢さ、見た目の魅力など様々な理由で共に子孫を残す相手を選択していますよね。
選択するのは主に女性で、男は可能な限り自分の遺伝子をばらまくというのが生存戦略ですがw(男女で繁殖のコストがまったく違うため)
でも、何かあったときに、どのタイプが生き残りやすいかは、何が起こるかによります。
なので、安定した世界だと異端だとみられてしまうグループや嗜好の持ち主が、ひとたび何かの際には種を繋ぐための鍵になるのかもしれない…とか思いますよね。(何かというのが何かはわかりませんが)
多分、一定数の多数派でないグループが存在している方が、種としての生き残りに有利だったのでしょう。
自分がそういうタイプでも、そうでなくても、全体の中で何らかの役割を担っているんだなと考えると、少しは自分の存在が意味あるものと思えるかもしれませんね。でもその役割が厳しかったら不運を嘆くし、ほんとは意味も何もないんだけども。
とか、そういうことは何も考えずにフラットな状態で素直に読めばいいのだと思います。
以下は章のタイトルと内容をひと言で(内容は的を射てないかもしれんけど)
1宇宙で目を覚ます
進化全般について2デザインされたものと「デザイノイド」(デザインされたように見える)物体
自然がつくるシンプルなデザイン3「不可能な山」に登る
進化の途中過程について4紫外線の庭
人間中心の視点を捨てる。DNAについて5「目的」の創造
脳が一気に進化し未来や宇宙を想像できるのは人間くらい。妙な迷信に惑わされることなく、科学で宇宙を知り大人になっていこう
とにかく、地球上の動物は知る限りすべて同じDNAコードでできた親類であり、もちろん人間が進化の最終形態などではない。
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