「超ソロ社会『独身大国・日本』の衝撃」を読んだよ


年間で一番離婚の多い月は3月だそうです。

これは80年代から継続する傾向。新年度や3月が卒業の時期で再スタートするにも切りがいいということでしょうね。当たり前と言えば当たり前か。

 

逆に9月スタートの国はどうなの?と思ったり、へえーという面白ネタもありますが、この本は基本的にはまじめに消費傾向などのデータを出してソロ生活の実態を考察するもの。

例えば、外食は家族世帯より単身男、単身女の方が支出が多いとか。一人頭ではなく家族3.4人分より単身者の方が多いそう。

(なので田舎の外食産業ももっと単身者が入りやすくした方がいいよね。カウンターメインにしろとは言わないけど、テーブルも四人掛け席じゃなく二人掛けを置いて必要ならくっつければいいし)

 

本書の章構成

1.増えるソロで生きる人たち
2.ソロで生きる人々を許さない社会
3.男たちは嫌婚になったのか
4.結婚してもソロに戻る人たち
5.ソロたちの消費
6.ソロ社会の未来

前半は流してすっーと読んでしまったけど、5章の消費や、6章の未来が特に面白かった。新書なのにうんちくにしたい内容が満載。

モノからコト消費(経験)、更に進んでモノや体験を通じて得られる「精神価値」にソロ人のお金の使い方の重心が移行しているとか、そういうの。

 

後半はまたブログネタにしたいので、ここでは前半の内容から(笑)

現代はソロで生きる人たちが増えています。結婚に対する意識の変化もありますよね。

男性は家電の普及やスーパー、コンビニの台頭で、結婚しなくても実質的な不便は少ない世の中になってきました。女性も経済的に自立していれば、わざわざ好きでもなく面倒な男のお守りをする必要はない。

 

ソロになる要因としては、非婚・未婚・離別・死別などがあります。結婚しても離婚すれば当然ながらソロ。

現在、世界の離婚率(人口に対するもの)で一、二位を争うのはロシアであり、日本は中間辺り。離婚については、江戸時代から明治初めまではもっとゆるく、日本の離婚率も世界のトップレベルだったそうです(正確な記録はないそうですが)

その後、明治の家制度や戸籍法の施行で離婚が少なくなったと見ていますが、それ以前の方が男女共に今よりよほど自立し、それぞれの価値観で暮らしていたのではないかと説いています。

明治後期から大正、昭和の途中までという時代がむしろ特殊だったのかもしれません。この本に限らず、日本では性や結婚観は昔の方が大らかだったらしいですし。

 

また結婚というのはある種の宗教に近い。未婚者に対して「結婚しなさい(すればいいのに)」というのは「入信しなさい。救われますよ」というのと似ていると感じるという例えが悪ノリしていて面白いです。

続けると、

彼らは結婚教の信者で宣教師。結婚しようがしまいが放っておけばいいのに、自分が信じることが正しく、分からない人は救ってあげなければいけない。そんな心理が働き結婚を勧めることを親心とさえ言う。

説得しても結婚しない=入信しないことが分かると異教徒あつかいし始める。

西洋の宗教の影響があるのか一神教だと他の神を認めない。よって異教徒は敵で駆逐しなければならない存在であり、結果、結婚しないやつは欠陥人間だというレッテルを貼る。という感じ。

恐ろしいなあw

 

「結婚しないと孤独死するぞ」という既婚者がいますが、配偶者が先になくなればソロになります。子供がいたって同居してなければ倒れたときに救急車が呼ばれるか分かりません。

もちろん親が亡くなり兄弟もおらずということになると(ちょっと先の私。従兄弟はいるけど頼れないよね)天涯孤独に近くいろいろと不便なのですが、そういう理由でするものでもないし、天涯孤独が不便な世の中の方を変えていく必要があります。(しかし上記の宗教的な理由で排除されがち…)

国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、今後「ソロ」人口が過半数を超える状況になっていく。皆婚社会ではマイノリティだったソロの人が、約20年後には半数になっていきます。

どちらがいいとかでなく、自分と違う考え方も尊重して、ソロだから制約があるという世の中は変わっていって欲しいし変わらざるを得ないと思いますが。

(保証人問題もそうですが、制約でいうと例えばネコの里親とか。ソロでも入院や死んだときの対応や通報システムを先に構築しておけばいいのでは。ソロ者が皆変質者でネコに危害を加えるわけではないのだし)

最終章の「ソロ社会の未来」には、シンギュラリティとソロ社会、VRによる恋愛と性欲の分離など将来についての興味深い内容もちょこっとあるよ。自分を熟知した人工知能秘書みたいなものが、恋愛や職業をマッチングさせれば面白い的なことです。

(他、生き抜く知恵として平野啓一郎氏の分人的な考え方を挙げたり、未来への提言があって6章を読むだけででもいいと思う。今までの結婚形式に囚われない男女以外のペア、複数の家族などによる経済的シェアとか、pha氏のシェアハウスにも似たような)

 

いろいろ書いてきましたが、ソロで生きることは山奥で仙人になることではないし、「ソロで生きる力」(=夫婦でも家族でも誰かに強く依存するのではなく、かといって全くの一人でもなく軽くでもいいのでつながりがあちこちに複数ある状態?)は家族持ちでもソロでも重要。

「ソロで生きる力」がうまく言えないのでまたそのうち。

 

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