人新世の「資本論」読書です


「人新世」:人間の活動が地球に与えた影響が大きく、地質学的に見て新たな年代に突入している

超ざっくりとまとめると、

産業革命からの環境破壊で人類全体の生存が脅かされるようになってきた。現在の資本主義の中で技術的にその問題を解決するよりも早く人類が破滅の道を進むのではないか。人類が生き延びようとするなら現システムでの成長は諦めるしかない。脱成長を考慮して新しいシステムを考えよう。

という感じかな。

資本主義による収奪の対象は、労働力だけでなく地球環境全体である。先進国でエコがどうとか言っても、それは資本による収奪や負荷を外部に転嫁しているだけであり、しかも安価な労働力、安価な自然は取りつくされようとしている。

また資本主義は危機も利潤獲得の機会とするため、脱成長は困難。発展による科学的な進歩で環境への負荷を取り戻せるという考えもあるが、実際に間に合うのか疑問。

 

ではどうすればいいか

「コモン」という概念。

あらゆるものを商品化するのではなく、あらゆるものを国有化するのでもなく、水や電力、住居、医療、教育といったものを公共財として、自分たちで民主主義的に管理する。この領域を拡張していくことで、資本主義の超克を目指す。

 

・「価値」ではなく、「使用価値」
売れればそれでいいではなく、使えるものは使う。GDP増大ではなく人々の基本的ニーズを満たす。

・労働時間の短縮
使用価値を生まない無駄な仕事を削減。穴を掘って埋めるような不要なクソ仕事もエネルギーを使うのでやめる。

・画一的な分業をもたらす労働を廃止。労働に創造性を
労働という活動の中身を変えてストレスを減らし、ストレス解消のための消費活動を抑える。

・生産プロセスの民主化を進め、経済を減速させる
「社会的所有」により生産手段を民主的に管理する。

・使用価値経済に転換し、エッセンシャルワークの重視を
今の高給取りな職業は実は無くても困らないものも多い。社会の再生産に必要なエッセンシャルワークが低賃金ではなく評価されるべき。

そんな感じだと思います。じゃあどうしたらいいのかという部分より、資本主義には脱成長が無理という部分がかなりボリューミーで、半分くらいから斜め読みになってしまったので理解していない部分もあるかと思いますが。

 

先進国が今までやりたい放題にやってきたのに、これから発展しようとする国が制約を受けるのは不公平ではないかというのはわかりますし、先進国もやりたい放題は諦めなければならないという話です。

かといって旧ソの様な社会主義になれというのでもなく、現時点をラストチャンスとして、自分たちに及ぶ影響が厳しくても先延ばしや誤魔化しをせずに真剣に話し合わなければならない。既にそのリミットが来ているという警鐘です。

 

なんかでも、私も含めて今の一般市民は面倒くさいことは丸投げなので、というか労働させられ過ぎであれこれ考える余裕が無いんですよね。ただもうそういう段階ではないぞと。

このままいけば生命力のある人類の一部だけが生き残って、最終的には力が支配する北斗の拳的な世界を迎える? ドクター・ストーンみたいに文明は復活できなさそう。

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