狩猟採集時代は、個人個人がそれぞれ生きていくためのある程度の能力を持っていました。
しかし、社会システムの変遷とともに、それは「普通」でなくなってきます。(例えば出産。動物は独力で出産するが、現代の我々は多少なりともケアを受ける)
全員が全ての能力を持っていなくても生活できるようになる。それが「最適化」であり、「専門化」するということ。
かつて「人間対人間」の関係で役割分担、最適化が行われてきた。そしてここ40年~50年の間に「人間対機械」の関係でも、そうした最適化が行われるようになってきた。
「人間対機械」の場合、最適化で検討する材料は「コスト」です。
こうした社会の変遷を考えれば、これから「なくなる仕事・減る仕事」が見えてくるのではないか。不当に給料が高い仕事は機械に代替されるのでは?
ということで、「10年後になくなる仕事・減る仕事。生まれる仕事・伸びる仕事」を考えてみよう。また機械に代替される時代に、どう生きて、どのような働き方をすればいいのだろうか、という内容の本。
堀江貴文氏と落合陽一氏による対談しながらの作で、二人の本を読んでいるとある程度は既知で違和感無く入ってくる内容かな。初めてだと衝撃かも。
半分は子供向けなのか、大きい字で読みやすい構成になってます。
例えば減る方ですが、
不当に給料とインセンティブ(株)による資産が高い仕事=経営者
ビジョンを語り人間をモチベートすることは今のところはAIにできないが、管理することはAIでも可能。
定型的な仕事のため低コストで、かつ携わっている人が多い仕事=一般事務全般
どの会社でも必要不可欠ではあるが、特殊な能力がなくても出来る仕事ではある。クラウド化されやすい。
他にも人が行う仕事が少なくなったり、一部のトップ以外は稼げなくなるものの例を挙げています。
ドライバー(自動運転。逆に運転しない分何かができる空間がありそれを埋める産業が…)
運送業(自動運転+ドローン)
エンジニア(簡単なプログラムは自動化できる)
弁護士・裁判官・検察官(人為的なシステムの中で人間が判断を下すだけなのに、不毛な富が支払われている)
会計士・税理士・社労士(法律関係の仕事は法律と判例をベースにできる)
警備員(AR拡張現実やドローンで見回り)
教員(AIで個々の生徒に対応)
公務員(公務員がやるべき仕事を考えると絶対安泰とは言えない。例えばスマホで申請できるなら窓口が不要になる)
銀行員(銀行自体が要らなくなる)
クリエイター(ビッグデータの解析でウケるテンプレートを学べるため代替されないとは言えない)
などなど。他にも例は挙げられてます。
ひとつ、現状の仕事については、「Uber化」、「くら寿司化」がポイントではないかということ。
例えば保育士にしても、不当に安く使われていると思うならC to Cのサービスを利用することができるそう。ベビーシッターのマッチングサービスに登録して仕事をすれば、中間搾取されない。
保育園の壁の飾り付けは大変で、ボランティアのようなもの。しかしそれが本当に必要だろうか。タブレットでも渡した方が子供に喜ばれないか? みたいな。
人がやっていた仕事のある部分を機械化する。半分人で半分機械。的なこと。
もちろん、これから生まれる仕事、伸びる仕事なども話題に上がります。ここに載せるより、それは何故ということも含め、自分で読んだ方がいいでしょうねw
でも、ここで書かれている内容を盲信したり、言われるままに具体的な職業を目指すのはまた違うと思うのよ。
本の中にも、どこかの詳細な未来予測など「占いの精度」と書かれていますし、正直いって未来などどうなるかわかりません。
実際に書かれている職種云々より、「自分で考えるための思考の道筋を手に入れる」ということの方が重要なのでしょうね。
インターネット革命が起き、今までとは考え方を変えなければならない。
人間がやる仕事は減っていく。
だからといって悲観的になる必要はない。好きなことをやって突き詰めれば、それが収入になるかもしれない。
またそうやって突出できない多くの人でも、ベーシックインカムをもらって遊んでいればいい。
(ベーシックインカムについて:働く事が不得手な人に労働を強いるより、事業を考えることや働くのが好きでバリバリやりたい人に任せた方がいい。働く事が得意な一部の人が高給取りになり、働く事が不得手な人にはベーシックインカムで最低限の生活だけ保障する。その方が現状のように無駄な仕事を作り出して給料を払うより効率が良くないか?)
AIの時代は古代ローマに似ているかもしれない。奴隷制度の役割をある程度AIが果たし、「みんなローマ市民なみの生き方をするようになる」という。
10年後にどうこうというよりは、
一つの会社に就職し定年までずっと働くという時代は終わってしまった。現在就職活動をしている年代や子供たちの世代にはもっと違った世界になっているだろう。仕事や働く事について、彼らがどのように考えていけばいいか。
この本で、その指針を示すということだと思う。
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