マンガ『宇宙兄弟』の3巻ではJAXAによる飛行士候補の選抜が行われるのですが、それは何人かでチームを組み閉鎖環境で2週間過ごすというものでした。
その様子はJAXAからモニターされています。ISS(国際宇宙ステーション)にいても地球と交信できるように、閉鎖環境といってもモニタールームとの会話は可能ですが。
そんな様な閉鎖環境で宇宙空間をシュミレートしますが、宇宙では何かあったときにミスをすれば直接命に関わる場合があります。
閉所というストレスだけでなく、何かイレギュラーな出来事があれば、即、死の危険という究極のストレスがあるよ。
地球上からの打ち上げが失敗すれば補給物資が届く確約もありません。その中で実験のスケジュールなど細かに決められており、リスケジュールが繰り返されればストレスが増大します。
宇宙飛行士たちが経験するストレスには以下の種類があります。
・「身体的ストレス」 微小重力、宇宙放射線など
・「精神的ストレス」 閉鎖環境、補給遅滞、乗組員同士が異文化
・「緊急事態ストレス」 火災、急減圧、有害物質飛散など
またストレスの対処法には幾つかのパターンがあります。
・「忍耐型」 嵐が過ぎ去るのをじっと待つ
・「逸らし型」 気晴らしになることをして嫌なことを忘れる
・「バーンアウト型」 とにかく一生懸命、問題に取り組む。(燃え尽き型ともいう)
我々は嫌なことがあったときなど、無意識のうちにこれらを組み合わせていることも普通。
宇宙航空医師には飛行士のストレスを軽減する役割があり、以下の手法を推奨するとのこと。
ストレスに対処するためには、あらかじめ「自分のストレス解消になるようなこと」を細かく書き出してリストを作成しておく。
そしてストレスを感じたとき、リストからふさわしい気晴らし策を選んで実行し、ストレス解消に繋げます。それを「ストレスコーピング」というそう。
コーピングは「処理する、対処する」という意味のcopeに由来します。ゼロにならなくても「何とか上手く受け流す」、「上手くやっていく」という感じですね。
まあ気晴らしは人により、「散歩」とか「カラオケ」とか「読書」とか「瞑想」とかあるでしょうけど、宇宙空間だとできないことも結構多そうです。自然と触れ合う系などは無理ですし。(「どか食い」もISSでは量が限られているから無理だし)
あるストレスに対し、どの方法が、どれくらいストレスを減らすことができたか。
それを自分で定量的に判断しておいて(○○のストレスに対して50%軽減とか)、実際の場合に意識的に、戦略的に気晴らし策を組み合わせて選ぶ。という手法で有効性は多くの研究で実証されているとのこと。
鬱憤が溜まれば「カラオケ」が有効だったり、失恋時は「思いっきり泣く」とか、時には「体を動かす」が有効だったり。そんな感じでケースバイケースに対応した方が効果的ということかな。
ストレスに上手に対処できれば、人生が多少はマシに過ごせるでしょう。システマチックになっていれば有効か試しやすいですし、ストレスに対処する手法で自分に合うものがあればめっけもんです。
マインドフルネスとか瞑想とか、精神的に鍛える(ストレス耐性を上げる?)方法も注目されているみたいですし、まあ筋肉と同じで残念ながら一足飛びに鍛えられることはないみたい。退職後はストレス耐性も下がる一方だし。
「宇宙飛行士に学ぶストレス対処法」(緒方克彦)より
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