『ひとりで死ぬのだって大丈夫』(奥野滋子)を読んでます


普通とは異なる人生を選択したセミリタイア関係者なら、一般的にいわれる幸せだけが幸せの形では無いということは知っていると思います。

著者のおじさんは子供の頃から本の虫で、戦後の慌ただしい時代に本を読む時間を大事にし過ぎて、男が働かないとは何事かと父から不要者あつかいされたそうです。

 

その後時は経ち、おじさんは通っていた図書館の前で倒れ、そのまま病院に運ばれ還らぬ人となってしまいました。

親戚一同、そのおじは一人哀れでどうしようもない人生を送ったと考えていました。ですが挨拶にいった図書館で「亡くなられたのは残念ですが、死ぬまで好きなことに熱中できて、それはそれでお幸せな最後ですね」と言われ、実はそうだったのではないかと気がついたそうです。

そういった、一般的に思われる幸せとは異なるけど、実は幸せだったという話から始まりました。

 

著者は終末期のがん患者に寄り添う緩和ケア医。今まで2,500人の患者を看取ってきました。

これまでの、「病院で少しでも延命して命を永らえさせる医療」から、「平穏死」、「在宅死」という新しい流れがあり、それに同調する声も増えてきています。

少しでも最期の日々を穏やかに少ない苦痛で過ごせるよう、自分にあった医療とはどういうものか、副作用が強い薬が必要な時はどうするのか、ある程度の年齢になったら考えておく必要があるでしょう。

もちろん病気と徹底的に闘う選択をするのもいい。しかし、そのような濃厚医療を受けなくても、また経済力に恵まれなくても満足度の高い死を迎えることができる。

「一人で死んでも大丈夫」と言えるような心構えをどう築いていけばいいのか。そういうことを考えていく本。

上はほぼ冒頭部分ですが、そんな感じ。まだ半分読んだくらいですが。

 

緩和ケアは「身体的苦痛」だけでなく、
・「社会的苦痛」(地位の喪失、疎外感、孤独感)
・「精神的苦痛」(診断の遅れや効果が無い治療への怒り、容姿に対する不安、痛みや死への恐怖)
・「霊的(スピリチュアル)苦痛」(なぜ私が病気に、神が私を苦しめるのはなぜ、人生や死の意味とは)
がWHOによって対象とされたとのこと。

「病気を治すことだけに重点を置く医療」は「病気を持ちながらも質のよい生活を支援するための医療」に変わっていかなければならない。

 

読んでいくと幾つか例があり参考になりそう。医療制度については点数制の問題があったり、また医師の考え方にも様々なタイプがあり、どういう提案をしてくるかは分かりません。

治らない状態になった時、緩和ケアという選択肢があるということだけでも覚えておいた方が良さそうです。

自分の時もそうですし、身内などがそういう状態になった時、この方がいいだろうと取った選択が、本人の意志に反したり苦しめることになるのを避けるためにも、知識を得ておくに越したことはありません。

 

 

母の話ですが、昨年末に入院した時には意識があるかないか分からず、当然会話もできず、もうこれで母と会話することはないのかと思いました。

なので数日経って少しずつ口から単語が出てきた時に、回復したら今後はボーナスステージのようなものだなと思って、まさに今そのボーナスタイムを過ごしているような気がしています。

 

それもあり地元に戻っているわけですが、親が死についてどのような考えを持っているか知りませんし、なかなかこちらからそういう話もしづらいです。

今までの感じから何となくですが、母親は無茶な延命は必要ないと考えているような気はします。父親は祖母の時を見ていると、少しでも生きていて欲しいような気持ちがあるような気もします。

今後どうなるか分かりませんが、親のことは昨年末に自分の中で一度覚悟のようなものができたこともあり、自分の望みというよりは、二人にとって悔やむことがないよう、なるべく納得できるように最期の時があったらいいなという感じ。

 

この年齢だと、もしかしたら私の方が先にということも十分あり得ます。自分は介護など体験しなくていいのでその方が楽なのだと思いますが、申し訳なさ過ぎるのでそれは避けたい…。

正直いうと、あれこれ考えたくないですよね。実際、突然でパニクってわけ分からずにしばらく過ぎてしまうものかもしれません。

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