私とは何か-「個人」から「分人」へ-を読みましたよ。その1


「私と仕事、どっちが大事なの?いやんバカ!」と言われたことがある人も多いはず(笑)

これは一見比較しようもないものを比べていると思われますが、「どっちの分人が大事なの?」となると必ずしも突拍子のない問とは言えなくなってきます。仕事をしている分人と私といるときの分人。

 

「分人」とはなんぞやですが、

まず「本当の自分がいる」などと考えると、じゃあ会社で嫌々働いている自分は「偽ものの自分」であり、人生の長い時間を偽の自分ですごすのかと空しくなります。

良くも悪くも「対人関係毎に見せる複数の顔」が、それぞれ「分人」であり、全て本当の自分だと考えればどうだろう、というのが発端。別の分人で接しているはずなので、Aさんは私といるときは良い人だけれども、Bさんといる時はそうでもないかもしれない。

実際に人との出会いを通したり、また書物にハマればそれに対する「分人」が内部に育っているかもしれません。その「分人」の構成比率やどれに重きを置くかが個性ではないかということです。

 

猫も当然ながら、複数の「分猫」を持っているはず。ということになる

猫も当然ながら、複数の「分猫」を持っているはず。ということになる

 

分人にもレベルがあります。

ステップ1 社会的分人

不特定多数の人とコミュニケーション可能、マンションのエレベーターで見知らぬ住人と乗り合わせたときなどに軽く挨拶するような分人。

ステップ2 グループ向けの分人

特定のグループに向けた分人。会社やその中でも所属する部署に対する分人。学校のクラスやサークルなどで人と交わる場合の分人。

ステップ3 特定の相手に向けた分人

親、兄弟、恋人、友人。ある程度の関係がある知り合い。最終的に仲良くなるということはこのステップの分人で相手に接するということ。

 

分人とは自分が相対する人の数だけ存在します。但し例えばレジ打ちのバイトがお客に対する分人は何か特別な関係が無い限りは同じようなものだし、似たような分人を使い回すことは多々あります。

配偶者といるときの自分、仕事をしている時の自分、親といる時の自分と子供といるときの自分はだいぶ違うと思われます。このそれぞれの分人が個人を構成しているのだというイメージ。

個人の中の分人の構成比率がその人の個性であり、Aさん、Bさんに対する分人が違うものなら当然相手からの印象も違ってくる。ヤンキーが良い人なったという話は、付き合う人が変われば構成比率も変わり、ゆえに個性も変わるということ。

「対人(ひと)で接し方が異なるようなこと」、それを議論しやすくする為、「分人」という名前を付けたと著者は述べています。

 

私、うまく書けないので読んでいただいた方が早いのですが、無職ブログとしては、カフカの「変身」を引きこもりの話として再読できるのではないか、というのが興味深かったです。

「変身」は、朝起きたら自分が大きな虫になっていたという話で(それしか覚えてないw)、そこがショッキングなので目が行きがちだけれど、不可解な理由で主人公が部屋から出られなくなり、その面倒を家族がみているという状態。これは不登校とか出社拒否とか、そういう状態だとも考えられそう。

長いから続きます。

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