これは大っぴらには語られないことだけど、性のことは人間が生きる上で重要なことだからちょっと興味があって読んでみました。
障害のある人への性の介助について、支援をする人や団体へのインタビュー、実際の介助のエピソードなどをまとめた内容です。
(性の介助とは、手が動かせず自分で性欲を解消することができなかったり、物理的に一般的な風俗へ行くことも困難な場合に、直接の介助をしたり、風俗店に連れて行ったりとボランティアで手助けをするということ。他、精神面での支援など性に関するあらゆること)
響いたのは、ある支援者の言葉。
私達にできるのは支援を広げておくこと。その結果、例えば複数の人とセックスしたり、シングルマザーになったり、女性に貢いだりすることもあるかもしれない。
それでも、自分をひどく傷つけたり、他人に害を与えたりしない限り、いろいろな人生があっていいんじゃないかと思うんです。
彼らにだけ、手堅く生きなさいとはいえない。責任を負いながらも自由に自分の生きたいと思った人生を実現して欲しい。
結局、障害があろうがなかろうが性欲とか恋人が欲しいとかいう気持ちに変わりはなく、例えば障害のあるもの同士が結婚して夫婦になっても続くカップルもいれば離婚する場合もある。そういう部分は変わらないのだなということ。
話の一つに、支援男性が男性障害者のマスターベーションを介助するというのが出てきます。障害者側にはこれ以上迷惑をかけられない、しかし自分では手も動かせずにどうにもできないという苦しさがあるし、介助する側にも始めるには何かのきっかけがあり葛藤もある。
やはりネットが普及したことにより、登場する一人の障害者は介助をネットで募集して実際に会ったことがあるそうです。
応募理由が分からない人もいるし、女性が男性障害者の介助をしようと思ったいきさつなど読んでいると、人それぞれの人生があるのだなあという気持ちになる。自身の入院がきっかけだったり、別の章で出てくる女性は自分の障害が他人を助ける決心をさせたりなど理由は様々。
うーん、興味本位で読む本ではないのですが、かといって自分が何か助けられるわけでもないし、そういう状況があるということを知るために読む本かも。私は精神的にちょっと何もできなかった時期があったりと、過去の人生から他の人より僅かに関心があるような気もするし。
これは別に障害者に限らずモテない異性にあまり縁が無い人の場合だってそうなんだけど、生涯そういうことを経験できなかったかもしれない人達が、それによって自信や生きる望みを得ることもあるということなんです。
また男だけかと思いがちですが、女性の障害者でも利用したい人はいるそうです。本に出てくるある女性の場合は家が裕福なこともあり、親公認で出張ホストにお風呂に入れてもらったり、それが生きる希望にもなっているとのこと。
ただ女性はお金で性を買うということに抵抗がある人が男性より多いそう。それに男と違って分かりやすい最終目標がなく、実際に人によってどういうことが望みなのか形式は定まらない。添い寝だけでいいのかもしれないし…。
障害者専門の風俗店もちらほらとあるようで、これも経営者やそこで働く女性とお客となった男性の双方にインタビューして記事を書いています。
ボランティアでは介助する方もされる方も一般的にいわれるモラルや、今まで生きてきた上での常識というか社会通念との葛藤がある人もいて、こういうお金で割り切る場所が合う人もいるということですね。
知的障害者の夫婦に、一緒に寝室に入ってどうすればいいのかというような手助けを行った取り組みも取材されていました。でも夫婦間のことではあるし、他人(もちろんある程度の関係性はできているが)がいることによる緊張や気持ちの問題もあり話は簡単じゃないらしい。
この本に出てくる介助は同性でする場合もあれば、異性が行う場合もあり、異性の場合はもし少しでも自分にエロい感情があったらそれはどうなのか?とか、介助する方も良いことなのかいけないことなのか自問自答しながらのようです。
ある人が言うには、支援する立場の者も、どう支援したらいいのかこういうことには答えがない。障害者の周囲にいる支援者にはそこを謙虚に受け止め、悩みながら葛藤して欲しいとのことでした。
海外(オランダ)でのある組織の活動例にも数十ページを割いており、この本は障害者の性に対する周知や啓蒙を目的に、一般には知り得ないいくつかの事例が報告されているのでしょうね。
ちょっと古い本なので現状や人の彼らに対する意識はまた出版当時と違ってきているのかもしれませんが。
感想というかざくっとした内容紹介になってしまいましたが、大通のブックオフで訪問記念に初めて買ったのがこの本で108円でした。
検索したら、札幌市は図書館にあったので興味がある方はどうぞ。中古本が100円で売られていることで分かるように大分前の本なので予約数はゼロでした。すぐ借りられます(笑)
図書館にあったということはタダで読めたのですが今回はお金を使ってしまいました。そうならないように図書館にあるのか検索するアプリをインストールしましたよ。そのアプリは結局図書館の蔵書検索・予約システムのサイトを呼び出しますが、予約の順番がとんでもなく先なら蔵書にあっても買ってしまうけど。
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