極楽タイ暮らし―「微笑みの国」のとんでもないヒミツ、を今になってやっと読む


初版の発行が2000年とかなり古いのですが、タイの良いところ悪いところ、主に彼らの気質などが面白おかしく書かれた本です。

いくつかのエピソードを読むと、

一般的な日本人の多くのようにある種真面目な考え方をしていると、タイ人と接した時に初めはいらいらしてしまうのかなあと感じました。でもそのうちに、「まあ、そんなに焦ったりカリカリせずとも、のんびりと適当にやればいいじゃない。」というような心持ちになってくるのでしょうね。

筆者は日本で就職したくなく、タイでは名門といわれるチェンマイ大学の日本語教師として雇われて教師をしていたとのこと。

休日にわざわざ時間をとって生徒に付き合うことにしたのに肝心の生徒がなかなか来ない。さすがに頭に来て数時間後にやっと来た生徒に説教を始めたら、「まあ先生、とりあえず食事に行きましょう。」と言われる。

日本の感覚だとずっこけてしまうのですが(ずっこけ古w)、大の男でも食事をすれば怒りが緩和されることを知っているのです。

 

またタイ人は日本人と同じようにあまり主張せず、若者が議論をふっかけてこない国だと書いてあります。要はあまり色々と深く論理的に考えないと。

それはタイと日本の共通点によるもので、
・アジアで欧米による植民地になった経験のない2つの国
・戦後も他国の侵略を受けなかった
・国内の少数民族が弱く民族問題に遭遇しなかった
そのため長年に渡り同類同士で生きてきて、異なった価値観を持つ集団や個人と対決する機会が日常生活においてなかったためではないかということ。

議論については、日本人が場の空気や相手の感情を考えて思ったことが言えないのに対し、タイ人は最初から他人のことに関心がなく自分の意見を主張する必要性を感じていない(但し利害がない時は)というのも興味深い。

他人に対する無関心度合いは高く、友人に頼まれて理由も知らずにあれこれ動いてくれたという話も載ってます。誰それに頼まれたから訳はどうでもよくってという感じらしい。

 

この本を買ったのは働いている頃で(お客様は、2012/3/29にこの商品を注文しました。とamazonの画面に出るがやっと今になって読んだとは…)、ストレスから南国への逃避欲求が高い時期だったと思う。

すぐ読まずに積んでおき、そうこうしているうちに退職したのでストレスが激減し南国への逃避欲求も少なくなったのでしょう。なので今の今まで読まずに積まれていました。本自体は福岡にも持っていったのですけど。

この本が出版されてからだいぶ時間が経っているため現在は事情がまた変わってきているようで、あとがきに、少なくとも年に1、2回はタイに行くが浦島太郎になった気になるとあります。

ですが根幹はなかなか変わらないと思うので、国民性を知るうえでかなりためになる本なのではないでしょうかね。書かれているエピソードも愉快だし。

 

タイが不況になった時に訪れた著者は、むしろ食べ物屋が増えていて意外に思ったそうです。日本では水商売は景気に左右されるというのが一般的な認識なので。しかしそれは元エリートビジネスマンでも中小企業の社長でも妙なメンツにこだわらず、タイでは手っとり早い屋台の食い物屋でもやりながら再起の時を待っているからだったというエピソードが私は気に入りました。

他にはですね、田舎で苦労して働いていたような人がバンコクに出てくるとすぐ地方での暮らしを忘れて快適に過ごそうとするし、日本人に多い「貧乏性」ではなく「金持ち性(とでもいうのか)」なのでは?というのもナイスです。

退職前に読んでいたら、退職直後にすぐ出かけていたかもしれませんね。今は北方面に来ていますが。(こっちはこっちで良いのよね~)

 

この本を読むと、日本には「こうすべき」という凝り固まった考えがずいぶん多いのだよなと改めて思います。夫が妻の家で暮らしてもいいし、生活費を得るためだけの仕事なんてちょくちょく変えてもいいし。

万人が明確に「こういう理由だからなのだな。」と納得できる説明ができないことはどっちでも良いのではなかろうか。

「昔からそうだったから。」というのも本来は何か重要な理由があったのかもしれませんが、現在では科学の進歩で解消されていたり、生活様式や意識の変化などで意味がなくなっていたりする場合が多いと思うし、どうでもいいことに拘る必要は無いと思うのだけど…。

まあ、そういう私も古い考え方を持つ人間なのですけどね。

 

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コメント

  1. 招き猫の右手 より:

    タイには何度も言ってますが、たしかに重たい主張をしてくる友人はいませんね。
    そもそも議論をする必要がないのか。あれだけ暖かいと白黒つけなくても皆がなんとかやっていけるだろうしね。
    最近のバンコクなんて東京なみに物価が高いんですけど、現地の人間がホイホイ金を使っていますからね、超楽観的なんだなと思います。
    将来的にはタイと日本と行き来するような生活がしたいなあ。

    1. じゅんぺー より:

      >招き猫の右手さん
      ちょっと金が入ればあとさき考えずに楽をするためにお金を使う気質…だと書いてありました。元々暖かい方は年中何か食べ物があったから溜め込まなくてもいいんだけど、特に楽観的なのでしょうね。

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