ますますカオスになる世の中、世界的な新しい秩序を考えて行かないとよろしくない世界になってしまうよ、と憂う本だと思います。かつての歴史の流れを振り返り、現状を解説し、では21世紀はどうすればいいかと考察する内容。
第1部:古代・中世の世界秩序
第2部:資本主義による世界秩序の進展
第3部:世界秩序の現状
第4部:21世紀の新世界秩序はどうなるのか?
なので極端な話、余裕が無ければ第4部だけ読めばよくない?と思ってしまいます。4部は今後のアメリカは?中国とインドは?アフリカや南米は?EUは?いや市場が、という具合。
実は第3部だけ読まずにこれを書いてますが、1、2部の過去の流れはかなり細かく書いてあって、時代の中心都市など以前読んだアタリの本と重なる部分もあると思いますが、歴史読み物として面白いです。古代ギリシャって進んでたよねとか感じます。
歴史から近い将来の我々の秩序を考えようということで第4部がメインですよね。民主主義では個人の権利が拡大し国家の及ぼす影響は衰退していくが、
「グローバル市場はグローバルな法の支配なくして持続的に機能し得ないし、法の支配は国家なくして適用されないし、国家は民主的でない限り長期的に存続し得ない。」
とあります。
それを含めて全体的には、何処かが抜け駆けして利益を得ようとすると、短期的に上手くいったように見えても長期的には多分失敗で、例えばグローバル企業に法の抜け道が無いように世界的に協調していこうみたいなことを、金融問題、食糧問題、地域紛争、地球環境など様々な事案に拡大して話し合っていく必要があるという事だと思います。
もちろん自分たちの利益だけを考えていては今と変わらないので、世界が一つに結束すれば解決の糸口が見えるかもしれないという話です。皆が世界市民的な感覚を持つということですね。
また最後の方で新しい世界統治機関のあるべき具体的で詳細な提言をしています。(連邦、スイスのような州が集まったシステムの国版はひな形で参考になる)
世界全体会議の前段階として「世界全体会議ドットコム」のようなサイトは実現の可能性はあると思いました。(電子的なデモサイト。人数がバーチャルだと無視できない程になれば有効かもということ。サーバーが攻撃されそうなので維持が大変だと思うけど)
ここから本書とは関係なく個人的な妄想ですが、地球や人類全体の公平な利益を考慮するには、結局人間組織だとどうしても腐敗するのでダメで、AI的な個人的に欲望を持たないものが公正に決断を下し、かつ全人類がそれに従うようなものでないとダメなような気がします。
でもそれはSF小説に出てくるビッグブラザー的な物になり得るし(もちろん人類が反対できる設計にするはずだけど)、極端に言えば人口を今すぐ現在の半分に減らさないと人類は存続できませんという結論を出すかもしれませんよね。そうなるとそれには従いたくないわけで、そういう例外が発生すると、じゃあ他も守らないでいいじゃないかとなってしまう。
まあ何を主な目標とするかによって違うじゃないですか。将来的な種(及び地球、他の生物)の存続を主な目的だとすると今存在する人には厳しいルールが課せられそうだし、逆に種として子孫を残すことを諦め(例えばですよ)現存する人を最大限に幸福にするということも考えられるじゃないですか。極端な話になってしまいますが。
それにもし仮にAIが公平で正しいとしても、そういう神に支配されるような世界が人類にとって面白いのかという疑問もありますよね。でも今現在生きることが大変な人にとってみれば、現状のシステムより絶対的に良いわけです。
もう何度か全世界的にこっ酷い目に合わないと地球規模での協調など無理な気もしますし、そういうのは永久に実現されないうちに人類が滅びるような気もします。もちろん全体主義になるのは違うんだけど、人間の中には頭が良くて利他的な人もいるのだと思うし期待したいけどどうなるんだろうな~って感じ。
一度文明が滅びればもう化石資源が無いので文明は復活しないという話も聞いたことがありますし、自分があと人類の歩みを見れても長くて数十年ですもんね。生きてる間に何か起こるのか起こらないのか。
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