たまにどこかの国で行われることがありますが、数年間とか、期限を区切ったようなBI(ベーシックインカム)実験は、「働かなくても食べていけるなら人は仕事を続けるのか?」的な考察としてはあまり意味が無い気がする。
なぜなら一生貰えるものでなければ、本人としたら仕事に復帰できるようにする必要があるし、会社を辞めない人も多いでしょうよ。日本と違って辞めても前と似た条件で復帰可能な社会なら、意味はあるのかもしれませんが。
あと、そういうものがあると周知させる意味はあります。
実験ではBIがあっても仕事を続ける人が多かったような記憶がありますが(定かではない)、BIが一生受給出来て、それがギリギリでもなんとか生活していける程度のものなら、私は仕事を辞める人が多いと思う。
(そういう制度があったとしても絶対ということはないので、ゆくゆくどうなるかはわかりませんけどね)
特に特定の業界で働きたかったというような人を除いて、サラリーマンを選ぶ普通の人は一生食べていけるなら辞めると思う。一部の起業するような人が趣味で(現在もそうだと思いますが)人類の生存には必須では無いが生活を進歩させるようなものを発展させていくのだと思う。
多くの人が仕事を辞めるとすると、社会的なインフラを維持するような場所で働いている人も同様だと思う。食品関連、電気、水道、物流や通信、建築など社会の維持に必要な会社の社員、使命感で働いてくれる人も多々いると思いますが、医療関連従事者だって食べていけるなら辞める人は多いでしょ。
そうなると交代でインフラを維持していく必要が出てくる。物理的なものだけでなく社会の仕組みを維持する警察、消防みたいなものも必要です。国民の多くが交代で半公務員的な働きをする必要があるはず。もちろん本人の意思や向き不向きで上手に役割が分担されることを望みますが。
完全に機械に依存するまでは、例えばですが、週のうち何日かは社会に必要不可欠な仕事に従事するとか、そうなってくる。そうしなければ、社会維持に必要なのに誰もやらなくなってしまうことが出てきて破綻してしまうので。
もちろんBIを受けながらそういう社会維持活動を行うと、サボっても一生懸命にやっても個人としては大差ないと考えてしまう社会主義的な失敗を繰り返すのかもしれませんが。
そしてそういう社会維持に費やす以外の時間は単に娯楽で暇をつぶす人がほとんどだと思う。でも趣味であれこれ学ぶ人は少なからずいると思うし、今回の人生で諦めた芸術や研究などをやる人もいるはず。予算が必要な研究開発などは進歩が遅くなるかもしれないが、文化的な要素はかなり高まる気がする。
そんなことを想像するわけですが、特に専門的な本を読んだわけでもない素人が考えると、生涯が保証されない期間的なBI実験には、ある面では意味があるのでしょうけど、仕事を続けるのか?的な考察としては意味が無いのではないかなと思える。
こう書くとBI反対派かと思われそうですが、私は実験じゃなくて実際にやってくれないかなと思っている派です。
ローマの歴史で「パンとサーカス」というのを聞いたことがあります。書いたけどよく知らんよw
古代ローマは王政から共和制になったものの、大きくなり過ぎたためか後に限界が来て帝政になったらしい。そして与えられる食べ物と娯楽で堕落していったみたいな、そういう愚民の例えにもなる言葉ですが、民衆に食べ物を分配するという思想自体は昔からあったんだなと。
それを考えると何もせず食料が得られるとなると、やはり堕落する人も多いと思います。別に堕落してもいいんだけど、ある程度は科学力や技術を維持していける人がいないと、技術的なものがブラックボックス化してしまい在庫がなくなったらお終いというような事になりそう。
そこに何らかの対策を見いだせれば、完全にBIを実現しても人類は大丈夫だなとなるんでしょうね。
ただ機械化やAIで社会に必須な仕事の人員が減っていくなら、あぶれた人をなんとかしないといけないわけです。無い方がいい糞みたいな人を騙す仕事も増えてきたし、貧すれば鈍するのですから、もう堕落するとかそういう事を言ってる場合ではないのでは?
BIとは直接関係ありませんが、面白味があったのでこれ。
「100分de名著-NHK ピノッキオの冒険 より引用」
上の台詞については、産業革命で長時間働かされるようになった社会に対して、作者のカルロ・コッローディが何か違うと感じていたのだろう的なことを解説していたような気がします。
農耕時代なら季節的なこともあっただろうけど、昔はそんなに長時間働いてなかったらしいじゃん。今の世の中は普通じゃなく、長時間に渡り労働をしている歴史的にも変な時代だったと後世で語られるのかも。
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