1949年に発表された古典です。
党が支配する全体主義的な世界で、党の権力維持のために個人の思想までを統一し、異端者は監視、排除されるという世界。
そんな中、党に違和感を持ち行動を起こそうとする主人公を描いています。
この作品は三部に分かれており、かいつまんでその内容をまとめてみます。
第一部
全体主義的で党が支配する近未来という世界観の提示と、主人公が党に信用しがたいという感情を持っている事。主人公の仕事は党の都合による歴史の改竄。
党員は常時テレスクリーンという双方向の薄型テレビで言動や表情、寝言まで監視される。
主人公の様に党に違和感を覚える者は、批判的な素振りを見せれば死やそれ以上の苦痛が待っているという中での生活。
第二部
党に対して同様の考えを持つ女性同士との出会い。恋に落ちつかの間の幸せな日々。
党の上層部に籍を置く反党の志を同じくする上司との接触。
禁断の書籍を入手し内容に触れる。書かれていたのは主人公が常日頃感じていたことを整理し論理的に表したもので、自身の思想を再確認する。
第三部
党による逮捕。主人公の意識をあらゆる手段を用いて根底から変えようとする党との戦い。
結末へ。
(党、党って書いているけど具体的にはなんじゃいw)
結末の後に附録として作品中に登場する「ニュースピーク」についての言及があります。
ニュースピークとは現在の英語を元にした言語。
これは語彙をシンプルにしたり、単語から複数の意味をなくし、単純な用途にしか使えないように再編したものです。
その目的は思想の統制。
人間は考える時に言葉を使います。そのため、言語自体を単純で深慮が不可能な体系にしてしまおうという意図があるのです。
(国民をアホにしてしまおうということ。日本の教育も似たようなものでは…)
「ニュースピーク」では、例えば「free」という単語は「政治的に自由」の様な意味は削除され、畑が雑草から自由(雑草を免れている)という意味合いでしか使用できません。
党の思惑としては2050年までにこのニュースピークが現代の英語に取って代わると考えられていたと言及しています。
ですが、この巻末の附録を記した時点でそうなっていないということが、党は永続しなかったということを表しているのかもと解説にあり、それがこの閉塞感のある小説の唯一の救いかもしれません。
英国では読んだふりをされる書籍ナンバーワンということで、書店で買われても積ん読状態になっている本の最たるものかもしれません。
しかしそれではもったいないです。もしこの本が積ん読されているのならぜひ読み始めてみては?
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