ジェイムズ・P・ホーガン著のSF小説です。
軽く序盤の内容を。
人類は月に基地を作って調査を行うような段階にいた。ある日、月のとある場所で、深紅の宇宙服を身に付けた死体が発見される。
調査していくと、彼(後に便宜的にチャーリーと命名される)は月面のどの基地にも所属しておらず、たまたま地球から来ている者でもなかった。驚くことに五万年前に既に死亡していたという結果が判明した。
物体の内部を透視するスコープを開発していた物理学者のヴィクター・ハントは、UNSA(NASAのような機関)から依頼され、多くの専門家と共にチャーリーと彼の所有物を調べることになる。
一つには、彼は生物学的には全く現代の人類と同じであった。調査を進めるうちに徐々に明らかになるそういった事実が、更にチャーリーの起源に対する謎を加速させうんぬんという始まりです。
生物学、言語学、天文や数学など、それこそ各部門で活躍している人たちが集められ、月面の彼の謎を解いていくわけです。一つ事実が解明されると、それに対する推論が生まれ、正しいか実証してみるというような流れで、謎が少しずつ明らかになっていく様は読んでいてワクワクします。
しかし、推測されたどの説をとっても何らかの説明がつかない部分があり、チャーリーとは何ぞやという問に、調査団はこれといった結論を導き出せないままでいるのですが、ある時ハントは全てを矛盾なく説明できるような仮定を導き出します。
もう一人、生物学者のダンチェッカーという人物が進化、淘汰の理論から自説を曲げないのですが、ハントの様な全体を俯瞰し柔軟な思考をすることと、本当に正しいと確信があることなら他人の考えに流されず貫くという、共に重要なことの良い面が出たラストだった気がしますよ。
ということで(どういうこと?)、SFが好きな人はわりと面白く読めるんじゃないかと思いました。
実は中盤辺りまでは少しずつ読むくらいのハマり度でしたが、その後出てくるニューヨークタイムズの調査経過まとめで小出しの内容が一気に整理されて俄然面白くなりました。
その後、徐々に加速して後半は一気読みです。小説って後半の謎が解けていく部分が気になってしまうのでそうなりがちですよねw
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