ミヒャエル・エンデ「モモ」を読んで


この話はよくわかるよね。今はモモと同じ側にいたいと思うけど、以前は街の大人たちと同様だったわけだから。

効率だけを追い求めたり、現代のようにあわただしく生活するのはどうなの?というお話かな。次から次へと物を欲しがったり、それでもいっこうに満たされないような現代の都会での生活ね。

 

「灰色の男」というのがやって来て、「あなたはこうこうこういうことで時間を無駄にしている。時間を倹約して預ければ、その貯蓄した時間がゆくゆくは倍になるんだよ。」という説明をし、節約出来た時間を時間銀行に預けなさいと言ってくる。

 

時間を節約するため、人は文明の利器を使って効率よく物事をこなすようになったかもしれないが、実際には節約したはずの時間はさっぱりあとに残らない。なんだか逆に余裕がなくなっているみたいな気もする。

余暇の時間でさえ少しの無駄もなく使わねばならない。どんどん無駄を省いていく。すると同じようにやる方が効率的なので画一化していく。

 

「灰色の男」軍団が画策して大人たちはすっかり変わってしまったけれど、子どもは何だかおかしいと気がついていてモモの所にやって来る。そして大人にも気づいてもらおうと、モモや子どもたちは考えて行動を起こすが…

 

その後、浦島太郎じゃないんだけど、カメに連れられSFファンタジーチックにストーリーは展開していきます。物語としては、その後半の方が面白いですね。

 

時間をケチケチすることで、本当は全然別の何かをケチケチしているということには、誰一人気がついていないようでした。

けれど時間とは、生きるということ、そのものなのです。

人間が時間を節約すればする程、生活はやせ細っていくのです。

「良い暮らし」や「将来のために」と追い立てられるようにせかせかと生きる。本当に大事なものって何なのでしょうね。そういうお話。

 

今の世の中、灰色の男たちの試みがこれ以上無いくらい成功している。

いつの時代も社会からはみ出すものが一定数存在するのだと思いますが、灰色の男に対抗するためには、はみ出したモモのような存在が必要なんですね。

この本は児童文学だけど、逆に大人が読んだ方がいいかなという気がする。例えば、ある程度の資金はあるのにセミリタイアに踏み切れない人が読むといいかな。

 

以降は付け足さない方がいいくらいのものですが、灰色の男にやられてしまったうんぬんで思い出したので書いてしまいました。

 

昔、借りて住んだアパートで、退去の時に汚れてもいない壁をメジャーで測ったり、そういうパフォーマンスをして少しでも敷金を返さないように、あわよくば敷金以上にお金を取ろうとする不動産屋の人がいたわけ。

私はそれを見てとても悲しくなって、もちろん不動産屋の仕事自体が悪いというわけではなく、正当なもの以上に客から毟ろうとする、その会社には問題があるなと。

 

私はかなりクリーンな環境で生きて来られたみたいで甘ちゃんなんですけど、自分の中では、そういう携帯に不要なオプションを付けるようなのと特殊詐欺の人はあまり変わりがない気がしてしまう。昔は妻子がいれば倫理的にアレな事もすると思っていたけど、今ではそれをやるくらいなら生活保護に行けばいいのにくらいの感覚になってます。

人が最低限生きていくために必要な仕事は従事する人が少なくても済むようになり、仕事に誇りを持てるような、世に必要な何かの役に立つものではなくなり、仕事のための仕事みたいになって必要以上に悪徳になってしまうのは、それが人の性質なのかもしれないけど、根本的になのか、運用面でなのか、何かが実情に合わなくなってきていると思うわけ。

 

どう修正すればいいか、どういう仕組みがいいかは知りませんが、そういうことを話し合うのが仕事の人達も、選挙だからといって若い候補さえも名前をがなり立てるだけということで、ネットのようなインフラは出来ても昔からそれほどの進歩は無し。

ただ映画を観ていても、選挙カーで聞こえなかった部分をボタン操作で瞬時に戻って見直せるようにはなっているので、そっちは進んでるw

 

技術的にはどんどん進んでいるけど、社会の仕組みについては新発明がないというか、ほとんど進歩してないということなのでしょうね。実際に社会実験で試行錯誤するのもあれなので、どこを修正すればどうなるとか、そういうのはスパコンであれこれシミュレーションできないのかな。(してるのかな)

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